- 2022/12/23
漫画『ベルセルク』に登場する
最重要のキーパーソン
「髑髏の騎士」の正体や、
彼とゴッドハンドの長
「ボイド」との間にあった凄絶な因縁、
そして作品の根底を流れる
「因果の螺旋」というテーマについて
分かりやすくまとめている
2020年時点の考察動画です。
1. 髑髏の騎士=覇王ガイゼリック説の確定
動画では、
作中の数々の伏線から
「髑髏の騎士の生前の姿は、
1000年前に大陸を統一した
覇王ガイゼリックである」
という説をベースに解説しています。
兜の符合
黄金時代編にて
シャルロット姫が
「ガイゼリック王は戦の際、
いつも髑髏を模した恐ろしげな兜を被っていた」
というおとぎ話を語っています。
甲冑の記憶
単行本41巻(第362話)にて、
ガッツが「狂戦士の甲冑」に残された
過去の記憶を追体験した際、
髑髏の騎士はガッツに対し
「かつての愚かなる王の終わりにしてみて、
果てなき夜を彷徨う亡者の始まりだ」
と語りかけました。
この
「愚かなる王(ガイゼリック)」
という自嘲的な第三者目線の言葉、
そして使徒スランや
鍛冶屋ハナールから
「王様」と呼ばれている描写からも、
この正体はほぼ確定しています。
2. 「賢者ボイド」の転生と大帝国の崩壊
髑髏の騎士(ガイゼリック)と
ゴッドハンドには、
千年前の「蝕」に端を発する
決定的な因縁があります。
おとぎ話の真実
ガイゼリックの都は
「神が遣わした5人の天使」による
雷と大地震によって
一夜にして地中に崩壊したと
語り継がれていますが、
その都の跡地(再生の塔の底)には、
生贄の烙印を刻まれた
無数の死体(ミイラ)が遺されていました。
賢者=ボイド説
断罪編にて審問官モズグスは
「かつて断罪の塔には、
ガイゼリック王によって幽閉され、
あらゆる拷問を受けながらも
王の罪を神に訴え続け、
ついに天使を降臨させた『賢者』がいた」
と語っています。
ガッツが甲冑の記憶でのぞいた
千年前の「蝕」の光景には、
今とは異なる
先代のゴッドハンドたちの中に、
当時新しく転生したばかりの
「ボイド」の姿がありました。
ボイドの脳が
剥き出しの異様な風貌や、
拷問・縫い合わされたような
顔の造形は、
この「拷問された賢者」のイメージと
完全に一致します。
つまり、
暴政を敷くガイゼリック王によって
拷問された賢者(ボイド)が、
絶望の果てに
ベヘリットを発動し、
ガイゼリックの愛する人(桜の皇女)や
国全土を生贄に捧げて
ゴッドハンドへ転生した、
というのが
千年前の悲劇の真相です。
3. なぜ千年前の存在が「鎧の亡者」として生きているのか
ガイゼリック王は
「蝕」の際に
使徒に殺されたのではなく、
大切な人を守るために
「狂戦士の甲冑」を
限界まで酷使して戦った結果、
肉体の命を
すべて甲冑に食い尽くされて
絶命しました。
人間としてはすでに死んでいる彼ですが、
魔女フローラや
鍛冶屋ハナール、
呪術師たちの何らかの禁忌の力(呪い)によって、
自らの魂を
現在の「髑髏の鎧」へと定着させることで、
死なずの亡者として
復活を遂げたと考察されています。
パックが初めて彼と出会った時に
「エルフの気配がした」と感じたのも、
エルフヘルムの霊樹や
妖精の魔法が
その復活の儀式に関わっていた伏線だと解釈できます。
4. 核心:因果は円環ではなく「螺旋」である
動画の後半では、
作品の最重要テーマである
「因果律」について、
フローラが残した名言を基に解説しています。
髑髏の騎士は、
ガッツが自分と同じ過酷な復讐の道を辿り、
いずれ自分のような鎧のバケモノ
(成れの果て)になってしまうのではないかと
危惧していました。
しかし、
魔女フローラはそれを強く否定し、
次のように言います。
「因果は決して円環(同じことの繰り返し)ではない。
螺旋(らせん)なのです」
ガッツの特異性
先代であるガイゼリック王は、
千年前の「蝕」で
国も恋人もすべてを失い、
自らも人間をやめて
亡者になってしまいました。
しかし、
現代の主人公ガッツは、
同じ「蝕」の絶望を味わいながらも、
人間の身を保ったまま抗い、
キャスカを生き延びさせ、
新しい仲間たちと共に
絶望の運命を切り拓いています。
物語がただのバッドエンドのループではなく、
掛け違えたボタンのように
少しずつ軌道を変えながら、
ガッツという
「神の決めた運命に強い意志で抗う人間」
の手によって、
因果の円環を
「螺旋(違う結果)」
へと変えていくプロセスこそが、
本作『ベルセルク』最大の魅力であり、
原作者・三浦建太郎先生の描きたかった
核心であると
熱く締めくくられています。
—
かつて自分が守れなかった悲劇を、
現代で泥をすすりながらも
人間として守り抜こうとするガッツの姿に、
髑髏の騎士が
かつての自分たちのパーティー
(フローラやハナールとの旅)の影を重ね、
陰ながらバトンを託そうとしている
エモーショナルな構造が
分かりやすく紐解かれています。