鉄腕のゲッツ(ガッツのモデル?)

この動画は、
近世ヨーロッパに実在した伝説の騎士
「鉄腕のゲッツ(ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン)」
の生涯を分かりやすく解説した
歴史・偉人紹介動画です。

漫画『ベルセルク』の主人公
「ガッツ」のモデルになったとも言われる人物であり、
ゲーテの戯曲の題材としても知られる彼が、
実際にはどのような人物だったのかが
コミカルに描かれています。

1. 鉄腕のゲッツ(本名:ゴットフリート・フォン・ベルリヒンゲン)とは?

出自

1480年、
神聖ローマ帝国(現在のドイツ)の家柄の低い
「帝国騎士(皇帝直属の騎士)」
の家に生まれました。

幼少期から非常に血気盛んで
喧嘩っ早い性格でした。

世間のイメージとの違い

文学作品などでは
「農民に味方した正義の英雄」
として描かれがちですが、
実態は
「盗賊騎士(ラウブリッター)」
と呼ばれる、
武力を背景に私利私欲に走る荒くれ者でした。

2. 騎士の利権「フェーデ(私戦)」の悪用

ゲッツは20歳の頃に
先輩騎士から「フェーデ」のやり方を学びます。

本来フェーデとは
「貴族・騎士同士のトラブルを、
上を通さず
当事者間の武力で解決する
正当な権利」
でしたが、
当時の騎士たちはこれを
「合法的な金稼ぎの手段」
として悪用していました。

ゲッツは難癖をつけては
フェーデを仕掛け、
相手の商人や関係者を誘拐して
身代金を要求したり、
領地を略奪したりする行為
(恐喝・追い剥ぎ行為)
を繰り返して莫大な富を築いていきます。

3. 右腕の喪失と「義手の鉄腕騎士」の誕生

24歳で右腕を失う

ある戦場で味方の誤射(大砲の直撃)を受け、
右腕の肘から先を失ってしまいます。

超高性能な義手

ゲッツはフェーデで稼いだ大金を注ぎ込み、
非常に精巧な
「鉄の義手」を作らせました。

この義手は指の関節が可動し、
左手でボタンを調節することで
剣や手綱をしっかりと握ることができるという、
当時としてはオーパーツ並みの代物でした。

義手を装着したことで
ゲッツはさらに
「レベルアップ」し、
より一層フェーデに狂奔するようになります。

4. 繰り返される暴挙、二度の「アハト刑(帝国追放)」

ケルン大司教への恐喝

射撃大会の賞金未払いを巡る
親族のトラブルを大義名分に、
帝国のトップクラスの権力者である
ケルン大司教に
フェーデを仕掛け、
商人を拉致して身代金をせしめます。

帝国都市ニュルンベルクへの襲撃と「アハト刑」

同僚が拘束された事件に
首を突っ込みますが、
すでに同僚が解放された後であるにもかかわらず
「一度は拉致したんだからフェーデ継続だ」
と言いがかりをつけ、
ニュルンベルクの商人の隊列を
襲撃・カツアゲしました。

このあまりの暴挙に、
神聖ローマ帝国から
「アハト刑」
(帝国禁令・事実上の無法者指定・全財産没収)
を言い渡されますが、
ゲッツは全く無視して略奪を続行。

結果、
二度もアハト刑を宣告され、
さらには「教会破門」にまでされますが
どこ吹く風でした。

最終的には
皇帝(マクシミリアン1世)が
直々に仲介に入ることで
ようやく大人しくなりました。

5. 伝説の暴言:「俺の尻を舐めろ」(Leck mich am Arsch)

次のターゲットとなった
マインツ大司教との戦いの中で、
とある都市の城下町にある
羊小屋に火を放ち、
引きこもる代官をあぶり出そうとします。

降伏勧告に応じない相手に対し、
ゲッツが窓から叫んだ言葉が、
歴史に名を残す名セリフ
「俺の尻を舐めろ!」
(お前の親玉の皇帝にそう伝えろ)
でした。

このあまりにインパクトのある下品な暴言は、
のちに文豪ゲーテの戯曲で引用されたり、
モーツァルトが同名の楽曲(尻を舐めろ)を作曲したりと、
ドイツのサブカルチャーにおける
伝説のフレーズとなりました。

6. ドイツ農民戦争と晩年

農民戦争への参加(45歳)

各地で農民の一揆(ドイツ農民戦争)が勃発した際、
反権力の象徴として祭り上げられたゲッツは、
農民団から「大将になってくれ」と頼まれます。

ゲッツは引き受けたものの、
農民たちに
「略奪や不必要な暴力の禁止」
というルールを課します。

(これまでの自分の略奪行為を棚に上げた
凄まじいブーメラン・ルールでした)

しかし、
血気盛んな農民たちはルールを守らず、
嫌気がさしたゲッツは
1ヶ月の期限が切れると、
決戦を前にして
彼らを見捨てて撤退。

農民団は諸侯の軍に大敗し全滅しました。

過酷な軟禁の制約と、大往生の結末

農民側に加担した責任を問われ、
諸侯から
「復讐心の放棄」
「領地(ホルンベルク城)からの外出禁止」
「夜間の外出禁止」
「馬に乗るな」
という、
騎士としてのすべての自由を奪う
極めて重い制約(軟禁措置)を課されます。

その後、
新皇帝カール5世から
「戦争を手伝ってくれ」
と頼まれて
制約を解除されるなど、
騎士としての全盛期の凄さは
帝国中に知れ渡っていました。

散々大権力者に喧嘩を売り、
自由奔放に暴れ回ったゲッツでしたが、
大きな報いを受けることもなく、
最終的には82歳という
当時としては凄まじい大往生で
ストレスのない人生を終えました。

第二次世界大戦時の
ドイツ軍(武装親衛隊)には、
彼の名にあやかった
「第17SS装甲擲弾兵師団 ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン」
という部隊が存在し、
部族のエンブレムには
彼の「鉄腕(アイアン・ハンド)」が採用されていました。

 

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